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釧路家庭裁判所 昭和33年(家)361号 審判 1958年7月22日

申立人 長島昭一(仮名)

主文

本件申立を却下する。

理由

申立人は申立人の名昭一を庄一と変更することを許可するとの審判を求め、その理由の要旨は申立人の戸籍上の名は昭一であるが、昭和二二年八月改名し庄一と称し爾来商取引から友人知己との交際関係は勿論現在においては市役所の納税関係、住民登録、健康保険に至る迄総て庄一を使用しているから、この際庄一と変更したく、本件申立に及んだというのである。

申立人の戸籍上の名が昭一であること。しかるに昭和二二年八月頃から交友関係ばかりでなく商取引、配給登録、公租公課関係において総て庄一の名を使用していることは申立人の戸籍抄本、端書、普通預金通帳、国民健康保険税徴税令書、納期別納付額及び領収書並びに調査官の調査報告書に徴し明かである。しかし上記調査報告書によつて窺われるように庄一の名を使用するに至つたのは昭和二二年三月頃易者の姓名判断の結果、昭和二年生れでありながら昭一というのは悪いから庄一に変更したがよいといわれ、庄一を通名として使用し、一〇年後に改名の手続をする予定で今日迄使用して来たというのであつて、昭一なる名が悪いという科学的基礎がなく、庄一なる通名を一〇年以上使用したからというて何等合理的基礎のない通名を単に永年使用したことを根拠としてこれを是認することは既成事実を認めることになり常に既成事実をつくれば認容せられる結果となり到底賛同することはできない。本件申立は正当の理由がないから却下するを相当とし主文のとおり審判する。

(家事審判官 原和雄)

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